マテリアル

VAD法とは

VAD(Vapor phase Axial Deposition, 気相軸付け)法は、ガラス合成トーチ内の酸水素炎中にガラスの原料となる四塩化珪素などを輸送し、加水分解反応によって合成された石英ガラス微粒子(二酸化珪素など)を回転駆動する出発材に付着させ、それを軸方向に成長させて出来上がったスートを、電気炉で加熱・焼結することによって透明化して光ファイバプリフォーム(母材)を製造する方法です。

スート製造工程

図1.スート製造方法の概略図

図1にスートの製造方法概略図を示します。
ガラス合成トーチから出る酸水素炎中にコアガラスの原料となる蒸気化した四塩化珪素などを輸送すると、下記のような化学反応が生じ、石英微粒子(SiO2)が合成されます。

SiCl4 + 2H2O → SiO2 + 4HCl↑
SiCl4 + O2 → SiO2 + 2Cl2

スートを作製する際、コアガラス合成トーチには四塩化珪素のほか、四塩化ゲルマニウムが導入されます。これはコアの屈折率を周囲のガラス(クラッド)よりも高くするためです。

図2.光ファイバの断面図

光ファイバは図2に示すように、信号光が主に伝搬するコアと、その周囲のクラッドの2層構造を持っています。光ファイバのコア内に信号光を閉じ込めることができるのは、クラッドよりもコアの屈折率が高くなっているためです。

図3.スートの外観

図3に、作製したスートの写真を示します。
スートは酸水素炎中で合成された石英微粒子の集合体であり、微粒子間にはわずかな空気が存在するため光が散乱し白い円柱状に見えます。

ガラス化工程

図4.スートの焼結方法

作製したスートは、図4に示すような電気焼結炉の中に挿入されます。電気焼結炉内の発熱体は円筒状であり、スートが加熱された発熱体の中を通過すると石英微粒子が一度溶融状態になり、発熱体通過後融けたガラスが冷え固まる際に微粒子間の空気の隙間が埋まり、透明ガラス体になります。
このような工程で石英系ガラスを作製する方法をVAD法と呼び、量産性に優れ非常に高純度で透明性の高いガラスが得られることが最大の特徴です。

弊社の取り組み

弊社では、VAD法を用いた光ファイバ母材技術開発に取り組んでいます。
今後も、これまでにない半金属添加光ファイバ、特殊な光ファイバ等市場に存在しない仕様の光ファイバの開発に取り組んでいきます。
特殊仕様の光ファイバのご要望が御座いましたら、弊社までお気軽にご相談ください。

<VAD法による光ファイバ母材の作製仕様>
添加可能元素GeO2Al2O3Bi2O3P2O5B2O3
NA制御範囲0.07~0.3 ※
クラッド/コア比率1.1~
屈折率分布SI、GI
OH残留量低OH:<1ppm
高OH:100ppm程度
母材寸法直径:~φ20mm
長さ:~200mm

※コアは、Ge添加により屈折率を調整